タイの宅配便市場、栄枯盛衰の状況 その1 【タイ:物流市場】

デジタル業界および宅配業界の情報筋によれば、Kerry Express(KEX) は2025年現在、親会社である中国の SF Holding グループ のもとで事業ポートフォリオの見直しを進めており、これは競争の激しい市場における「疲弊」を示しているとしています。
かつてタイ市場のトップに君臨していたKEXも、収益の鈍化や高騰する運営コストに直面し、物流戦略の見直しを余儀なくされています。
SFグループ内で採算の取れない事業の一部を閉鎖していることからも、「大資本=安泰」とは限らず、構造改革がなければ生き残れない という現実が浮き彫りになっています。
一方で、タイ郵便(Thailand Post) はタイ全国に張り巡らされたネットワークを持ち、地域データの蓄積、利用者からの信頼、そして社会に深く根付いたインフラという強みを活かし、安定した収益と利益を確保しながら市場に踏みとどまっています。
特に注目すべきは、民間企業が苦戦する中、タイ郵便が価格競争に頼らず、
地方の隅々までカバーする確実なサービスで、他社が手放した市場を獲得している点です。
また注目されているのが、「フラッシュ・エクスプレス(Flash Express)」です。
タイの物流ユニコーンの一つである同社は、創業者コンサン・リー氏のもと、短期間で物流インフラを築き上げ、365日年中無休のサービス やテクノロジーを強みとしています。
ただし、依然として赤字経営が続いている ことが課題です。
フルフィルメントセンターの拡充や越境物流など、さまざまなサービス拡大を進めており、今後の利益化に向けた投資として、将来的な黒字転換の可能性は期待されています。
現在、この業界で起きていることは単なる市場シェア争いではなく、明確に「投資重視の時代」から「持続可能性重視の時代」への移行を示しています。
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