タイのホステル業界は、新たな専用の規制を要請【タイ:宿泊サービス】
タイ・ホステル協会(Hostel Thailand Association)によると、ホステル事業者らは、低予算で小規模な事業にとって「ホテル法」は実現不可能であるとして、ホステル専用の新たな宿泊施設規制を求めています。
2025年時点で、タイ国内のホステルは約800軒、提供ベッド数は約4万床であり、2019年の1,200軒・6万床・4億バーツ超の収益から大幅に減少しています。
Hostel Thailand Associationの会長Naree Suneta氏によると、ホステルのうちホテル法に基づき正式な営業許可を取得できているのはわずか1割にすぎません。
2023年の省令により、客室8室以下・宿泊者30人以下の施設は「非ホテル事業」として登録できるようになりましたが、この基準は主に民宿(ホームステイ)向けであり、50人規模の宿泊を想定するホステルには適用が困難であると指摘しています。
また、ホテル法の安全基準は過度に厳格であり、建物の構造変更や安全機構の整備に多額の投資が必要となります。
多くのホステル事業者は賃貸物件の一部を改装して営業しており、構造変更が不可能である上に、パンデミック後の収益低迷により資金も不足している状況にあります。
そこで、協会ではホステルの特性を踏まえた、より柔軟な基準を持つ専用規制の策定を提案しています。
ホステルは地域の飲食店、ランドリー、旅行会社など周辺事業への波及効果が大きく、地域経済に貢献している点を強調しました。
Naree Suneta氏はまた、新たな規制を2025年8月に現行省令の期限が切れる前に制定すべきであると訴えました。
業界動向については、2025年は外国人観光客の消費が経済不安や地政学的リスク、航空運賃の高騰などにより抑制されており、観光需要の回復は限定的です。
2024年第4四半期から2025年第1四半期にかけての平均稼働率は70〜80%にとどまる見通しです。
アジア市場を対象としたホステルは堅調である一方、欧州市場依存型の施設、特にバンコク・カオサン通り周辺やプーケットでは低迷が続いています。
さらに、パンデミック以降、多くのホステルが資金難により閉鎖に追い込まれました。
ホステルは内務省の管轄するホテル法上の正式な事業区分に含まれないため、補助金制度や低利融資の対象外となっています。
タイ・ホステル協会は2024年に設立された新しい業界団体であり、今後の制度改革を通じてホステル事業の再活性化を目指しています。
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