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ASEAN最新動向

Latest trends in ASEAN

グローバル化の変化

1:消費市場のグローバル化

日本でも「グローバル化」という言葉が登場し始めた1990年代後半は、どの
先進国の企業にとっても、まだ米国やヨーロッパ、日本などの先進国だけが
市場として捉えられており、先進国へ拡大することが「グローバル化」と
呼ばれていました。

当時のデータや資料を読むと、ROW(Rest of the World)という言葉が良く
出てきます。
市場は、米国、ヨーロッパ、日本、ROW(その他)というくくりでしか
見られていなかったのです。

したがって、日本企業では、家電や自動車などの製造業でも、流通でも、
金融でも、「米国やヨーロッパでのシェアを増やさなければ」という意識で、
経営課題が設定されることが多かったということがあります。
また当時は、中国は「世界の工場」と呼ばれ、安価な労働力を活用した生産拠点と
しか捉えられておらず、まだ消費市場として大きな存在感はありませんでした。
同じく、中国以外の新興国もほとんど注目されておらず、BRICという言葉すら
存在していませんでした。

ところが今後必要になる「グローバル化」は、もはや先進国への進出の拡大では
ありません。

先進国市場とは質的に異なる未知の市場である新興国マーケットへの拡大です。
新興国の経済規模は2000年以降大きく増加し、安価な労働力の供給源としてだけでなく、
消費市場としての魅力も高まってきています。
2025年には新興国のトップ7カ国のGDPはG7、つまり先進国トップ7カ国のGDPを
上回ると予測されています。

既存企業&ベンチャー企業は新興国に進出して事業を構築するだけではなく、
アメリカ、日本、ヨーロッパなどの先進国とは質的に異なるこれらの地域のニーズを
取り入れた製品やサービスの開発、設計をする必要性が急速に高まっています。

2:組織体制のグローバル化

もうひとつの変化は、この地域の広がりの変化に伴って必要になる、組織そのもの
のグローバル化です。

新興国の存在感が高まるにつれ、日本市場しか知らない日本人、または先進国の人間
だけで企業活動、マーケティングを行うことが困難になっています。
研究開発や経営も含む全ての機能で、グローバルな人材を活用する必要が出てきています。

※日産「インフィニティ」 本社機能を香港に
中国・東南アジア富裕層に重点
日産自動車は、高級車ブランド「インフィニティ」の本社機能を2012年4月に香港に移すと
発表しました。

日本の自動車メーカーが市場調査や商品企画などの本社機能を海外に移すのは初めて。
中国や東南アジアなどの富裕層に重点を置く戦略を明確にします。

これは、新興国の優秀な人材をどんどん採用して、活用できる組織にすることと、グローバルな視座を持った日本人を育てて、地域的に展開していくことの両方を意味しています。

かつての「グローバル化」は、海外の販売拠点を強化してシェアを上げるとか、生産拠点を海外に移し、現地の労働者に日本的な生産の真髄を教え込むなど、本当に一部の企業活動のみをグローバル化することを指していました。

ところが今や、販売や生産だけではなく、更に上流の活動である、販売製品やサービスの設計、研究開発、さらには経営における戦略の策定や組織の設計といった企業活動でも、グローバルな視野を持った人材を自国・他国問わずに活用する必要が出てきているのです。

3:消費市場と組織体制グローバル化の背景

これには複数の理由がある。世界的に消費ニーズの変化が急速になっているため、新興国各国の市場を良く知っており、すばやい意思決定が出来ることが企業により重要になってきていることです。

<新興市場の多様化>
●特に新興国という先進国とは質的に異なる市場(イスラム金融・ハラール市場、BOP市場など)が拡大し、製品・サービスの開発、設計から販売方法に至るまで異なるものが要求されていること。

<新興市場人材のハイレベル化>
●新興国が豊かになるにつれ、3ヶ国語は当たり前、ITスキルも先進国の人間以上である安く優秀な人材が輩出されるようになり、彼らを活用しないとコスト的に勝てなくなってきていること。
こういった人材を活用し、コスト競争力のある新興国の新興企業が、徐々に製品やサービスの品質を上げ、新興国市場において大きく先進国企業のシェアを奪い始めていること。

これらの動きを受けて世界の多国籍企業が企業活動や組織のグローバル化しており、この動きを更に加速させていること。
このような理由で、もう日本人だけで日本企業をやっていく、というのが不可能になってきている、ということです。

製造業や流通など、国境なく世界市場を相手にしなくてはならない一部の産業で、グローバル採用とか、英語社内公用語化が行われるようになったのはこういう背景なのです。

しかし、単純に優秀な外国人を採用したり、社内で英語をしゃべったりするだけでは不十分なのは明らかです。
グローバルな視座を持ち、世界で活躍できる日本人の経営人材を育てる仕組み、「グローバル採用」した日本人以外の社員が、壁を感じずに活躍し、経営幹部として育っていく仕組み、そういったものをつくっていく必要があります。

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