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マレーシアの市場調査をする前に担当者が抑えておきたい基礎知識

マレーシアに進出する企業のご担当者が最低限知っておきたいマレーシアの市場調査に関する基礎知識をまとめてご紹介します。

1 マレーシアの概要データ

東南アジアの10カ国でルックイースト政策を掲げてきたマレーシアは2014年9月時点で以下のマクロデータとなっています。国名 マレーシア Malaysiaは東南アジアのマレー半島南部とボルネオ島北部を領域とする連邦立憲君主制国家です。マレーシア連邦とも呼ばれます。イギリス連邦加盟国であるため、コモンウェルスゲームズにも参加しています。

※コモンウェルスゲームズとは・・・・。
イギリス連邦に属する国や地域が参加して4年ごとに開催される総合競技大会。オリンピック競技のほか、英連邦諸国で比較的盛んなローンボウルズ、7人制ラグビー、ネットボールなども行われます。英連邦に所属する53の国と地域から71チームが参加、1930年から2014年度の第21回大会はスコットランドのグラスゴーで開催しています。

また同国はタイ、インドネシア、ブルネイと陸上の国境線で接しています。一方でシンガポール、フィリピンと海上を国境線で接しています。

面積

329,735平方キロメートル(日本の0.87倍)

人口

2,855万人(2011年、出所:マレーシア統計局)

首都

クアラルンプール 人口165万5,000人(2010年)

言語

マレー語、英語、中国語、タミール語

宗教

イスラム教、仏教、ヒンドゥー教、キリスト教などとなっています。

 

2 マレーシアの民族構成

マレーシアはイスラム教を中心とした国家であるがマレー人を中心とする多民族国家です。

国の時差

GMT+8時間、サマータイムなし (日本との時差 -1時間)

人口構成 民族別

マレー系65.1%、中国系26.0%、インド系7.7%

宗教別

イスラム教60.4%、仏教19.2%、キリスト教9.1%、ヒンドゥー教6.3%、儒教・道教などの中華系宗教2.6%

平均寿命

74.2歳(男71.9歳、女76.4歳) 識字率: 91.9%(男94.2%、女89.6%)
※それぞれ2007年データ

ただし人口規模は人口がおよそ2800万人で東南アジア各国ではやや少ない国家となります。インドネシア=2億4000万人,東南アジア1位 世界4位)フィリピン=1億200万人(東南アジア2位)ベトナム=8800万人(東南アジア3位)  タイ=6700万人(東南アジア4位)

また経済成長率は経済好調を背景にして2011年度+5.2%増、2012年度+5.6%増 2013年度+4.7%増と伸びています。

国家の名目GDP総額(USドル)

  • 2011年度 2326億USドル
  • 2012年度 2434億USドル
  • 2013年度 2499億USドル

一人あたりのGDP(USドル)

  • 2011年度 9,979USドル
  • 2012年度10,387USドル
  • 2013年度10,548USドル

※IMF統計データ2013年

3 マレーシアの財閥

マレーシアの財閥には不動産、金融、農園などの他に以下のようなものがあります。

  • クォック・グループ       農園・食品
  • ゲンティン・グループ      旅行・カジノ・電力
  • ホンリョン・グループ      金融・製造業  オリエンタルホールディングス  不動産
  • パブリックバンク・グループ    金融      YTL・グループ          インフラ・建設
  • ベルジャヤ・グループ      インフラ・不動産・小売
  • クアラルンプール・ケポン・グループ 農園・不動産
  • ドゥタ・グループ        カジノ・不動産   CIMBグループ          金融

マレーシア証券取引所(BURSA)に上場している上位10社の一覧(2010年末時点)

  • CIMB Group Holdings (1023) 665億9000万リンギ  1兆9977億円 銀行大手資産2位
  • Malayan Banking (1155)     659億7000万リンギ  1兆9791億円 銀行大手資産1位
  • Sime Darby (4197)          564億9000万リンギ  1兆6940億円 複合企業、農園など
  • Petronas Chemical (5183)    473億6000万リンギ   1兆4208億円  石油化学1位
  • Genting Group (3182)        419億6000万リンギ  1兆2588億円 複合企業 カジノ・リゾート1位
  • Axiata Group (6888)       408億リンギ    通信大手
  • IOI Corporation (1961)      403億リンギ 農園大手
  • Maxis (6012)            402億リンギ 携帯キャリア1位
  • MISC (3816)           375億リンギ 海運大手
  • Tenaga Nasional (5347)    359億リンギ エネルギー&インフラ大手

同国の2012年度輸出品目上位は電気・電子製品 2312億リンギ(7兆円規模)、パーム油・同製品732億リンギ(2兆円規模)、液化天然ガス(LNG) 555億リンギ(1.5兆円規模) です。

同国の2012年度輸入品目上位は熱電子管およびチューブ  896億リンギ(2.7兆円規模)石油製品482億リンギ(1.5兆円規模)原油 277億リンギ(0.9兆円規模) です。

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4 マレーシアの歴史

マレーシアの歴史は以下のようになっています。

1400年 マラッカ王国成立
1824年 イギリス・オランダ両国による英蘭協定を締結。この後から、マレー半島はイギリスの勢力下に入る。
1896年 イギリス領マラヤ成立
1941年 日本軍がコタバル近郊に上陸(マレー作戦)。太平洋戦争の開戦。
1957年 マラヤ連邦が独立する。初代国王、首相トゥアンク・アブドゥル・ラーマン
1963年 シンガポール、北ボルネオ、サラワクがマラヤ連邦と統合し、マレーシアが成立。
1965年 シンガポールが独立(マレーシアより事実上追放)
1981年 マハティール首相就任(~2003年)
1999年 首相官邸がクアラルンプール郊外の新行政都市プトラジャヤに移転。首都機能が2010年までに移転される。
2003年 アブドゥラ・ビン・アフマッド・バダウィ首相就任
2009年 アブドラ首相は、二期目の任期4年を残し首相を退任する。
2008年3月の総選挙で国民戦線が3分の2議席を確保できなかったため。次期首相にマレーシア与党連合・国民戦線の
中核政党統一マレー国民組織(UMNO)からナジブ副首相が4月から就任する。

5 マレーシアの政治

マレーシアは連邦制・立憲君主国で13州及び3連邦地域からなる連邦国家。元首(国王)は9人のスルタンの中からスルタン会議で互選により選出されます。任期5年間。連邦議会は二院制。 元老院 – マレーシア議会上院 代議院 – マレーシア議会下院

これまで一貫して、「UMNO(統一マレー国民組織)」が連合政権を担当してきました。2003年10月、それまで22年にわたりマレーシアを率いてきたマハティール首相が引退し、アブドゥラ副首相が首相に昇格した。2004年3月には、アブドゥラ首相就任後の初総選挙が実施され 与党連合BNは90%の議席を獲得し勝利。2008年3月に行われた総選挙では、事前予想に反し、与党連合BNが大幅に議席を減らしました(90%→63%)。

2009年3月に行われたUMNO総裁選にアブドゥラ首相は出馬せずに辞任、ナジブ副首相に政権委譲(第6代目首相)となっております。

6 マレーシアの多様性と経済発展

2009年からのナジブ政権は、「1 Malaysia」というコンセプトを導入して、「全民族への理解と敬意、多様性を力の源と捉える」ことを目指しています。

マレーシアの経済は過去は典型的な一次産品(ゴム、錫)の輸出国でしたが、外国資本導入で工業化を推進し、経済発展を遂げています。1991年には2020年先進国入りを目標とする「ビジョン2020:ワワサン(マレー語でvisionの意)2020」を掲げています。1980年代後半から1997年半ばのアジア経済危機の前までは年平均8%以上の高経済成長率を記録。

2000年後半からの世界経済の後退局面では電気・電子関連輸出を中心としたマレーシア経済も影響を受け、再び減速。2005年7月、通貨リンギは中国人民元の切り上げを追随する形で、米ドルへの固定レート廃止、管理変動相場制に移行しています。

7 マレーシアの3つの大きな特徴

東南アジアの一角を占めるマレーシアでは3つの大きな特徴があります。

  1. イスラム金融先進国
  2. ハラルを遵守した食品
  3. ミプトラ政策

1) イスラム金融先進国

イスラム教の国ではイスラム法(シャリア(Sharia)Islamic law)に沿った企業運営が求められます。イスラム株価指数はシャリアに従っている企業の銘柄から構成
されています。

また、そのシャリアに関しては以下のような活動が主な企業は含まれません。

  • 銀行などの利子の授受のある金融機関
  • アルコール
  • タバコ
  • ポルノ
  • 賭博・ギャンブル
  • 武器製造
  • 生命保険などを営む企業
  • 豚肉やハラル(イスラム教の戒律に則した食物)以外が含まれる食品を生産する企業

イスラム金融先進国は マレーシアやバーレーンが先進国。ドバイも猛追しています。
他イスラム国(中東諸国、東南アジア)、金融先進国(英国、シンガポール)も積極姿勢
世界の70か国程度に広がっています。

2) ハラルを遵守した食品

マレーシアはイスラム教を信仰する割合が多い国であり、ハラールと呼ばれるイスラム法で食べることができる基準を設けています。ハラール(حلال、Halal) は、イスラム法で食べられる物のことを表し、反対に、口にすることを禁止されている物をハラム(حرم、haram)と言い、「禁じられた」という意味でハーレムと同じ語源。イスラム法の下では豚肉を食べることは禁じられていますが、その他の食品・飲料でも加工や調理に関して一定の作法・プロセスが要求されます。この作法が遵守された食品がハラールと認定されます。

豚以外にも牙や爪がある動物も禁止されていて、またそれ以外の肉でもイスラム教に則った方法での屠殺が必要とされています。豚に由来する酵素や蛋白質にまで及ぶことも。医薬品や化粧品などにも適用になることもあり実際にサウジアラビア、イラン、インドネシアなどでは法律で禁止されています。

3) ブミプトラ政策

同政策はマレーシアの経済政策で「ブミプトラ」bumiputeraとは、サンスクリット(bhumi putra, भूमिपुत्र)から移入された語彙で「土地の子」、簡単に言うと「地元民」を意味する言葉です。マレーシアはもともと海外との貿易が盛んで、中国系華僑やインド印僑からの移民が多く移り住んでいました。

第2次世界大戦後、経済的に豊かな中国系人と先住民であるマレー人の対立が進んだ結果、民族対立による事件が続きました。この経済格差を解消するためにマレー人を経済的に優遇する国策が施行された一連の政策を総称して「ブミプトラ政策」と言います。

ブミプトラ政策では、同国内の企業の設立や租税の軽減などの経済活動、マレーシア公務員の採用などでもマレー系住民が
優遇されます。ブミプトラ政策は、1971 年からの新経済政策(NEP)によって本格的に開始され、「マレーシア社会の再編成」をすることで経済的な不均衡を是正するために発表されました。

  1. 教育におけるマレー人優遇
  2. 就職におけるマレー人優遇
  3. 住宅におけるマレー人優遇
  4. 銀行融資におけるマレー人優遇
  5. 会社経営上のマレー人優遇

などがあります。

8 マレーシアの特徴と懸念材料

マレーシアの特徴

  1. ナジブ首相が牽引する中進国マーケットで今後先進国入りを目指す段階
  2. 中東から流れ込むイスラムマネー=イスラム金融先進国
  3. 食品向けでもイスラム教義に合わせたハラルフードを生産
  4. マレー語を中心とする多民族国家
  5. 東南アジア随一の観光立国&リゾート地
  6. 日本や海外からの資金援助、融資が活発化
  7. マレーシア国内のインフラ開発「インフラ・プロジェクト」
  8. IT分野に特化した政策としてハイテク工業団地「サイバージャヤ」と、行政都市「プトラジャヤ」などの開発
    などが進んでいます。

マレーシアの懸念材料

マレー人優遇のブミプトラ政策の不満  多民族国家からの混乱
イスラム過激派の行動
汚職や賄賂による搾取
人口が少ない「2700万人」などの懸念があります。

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